Annual Review
No.10 2008.5
 リサーチダイジェスト
文献調査による国内外の基礎構造物等の研究の動向調査
東洋大学 工学部 環境建設学科 教授 須長 誠
1.目的
 鉄道のガイドウェイである線路構造物の構築・改良において、我が国は性状が違う軟弱地盤が多いことより基礎構造物(杭、フーチング等)、掘削に伴う土留め、補強土擁壁のような抗土圧構造物築等の研究が現在でも盛んに行われている。
  鉄道での独自の基礎構造物等の研究はほとんどの場合、鉄道総研報告や査読付き論文の代表的な土木学会論文集等に掲載され、鉄道関係者の目に触れる場合は多いと考えられる。しかし、言語の違う海外の文献等は、言葉の壁もありこれまで研究の動向調査は必要に応じて個別に行われているに過ぎない。基礎構造物等の分野は、地盤の性状によって研究内容が異なり、我が国のように軌道変形が厳しく管理されている場合は、基礎構造等の構築・改良にも厳しい条件が求められることが多い。このため地盤性状の違う海外の基礎構造物等の研究を調査し、我が国の研究と比較して研究の最新の動向調査を行うことは鉄道の基礎構造物等の研究に意義あることと考えられる。
  したがって本調査では海外の代表的な論文集について研究の動向を調査し、また国内の基礎構造物等の一流の論文は地盤工学会が発行する「Soil & Foundation」に掲載される場合があるため、これを含めて調査することとした。
2.調査研究の内容
2.1 対象文献名
  研究調査の対象とした文献は以下のそれぞれ世界を代表する以下の3種である。
   @アメリカのASCE の「Journal of Geotechnical and Geoenvironmental Engineering 」
   Aイギリスの「Geotechnique」
   B日本の地盤工学会が海外向けに発行している英文論文集「Soil and Foundation」
2.2 調査対象期間
  文献の調査対象期間は2005 年度(2005.4 〜 2006.3)及び2006 年度(2006.4 〜 2007.3)の2年度分とした。
2.3 対象文献
  先ずは対象文献の全論文についてタイトルの和訳、抄録、掲載頁、掲載時期を付記し、その中から、土質全般と今回対象とする基礎構造物に分けて抽出した。
  ここでいう土質全般とは、圧密のように土質の特性を研究する論文、盛土・切土のように土構造物を研究する論文等は示す。また基礎構造物とは、のちほど分類で紹介するが、杭・ケーソンのように深い基礎、フーチングのように浅い基礎、掘削に伴う研究を示す。擁壁や補強土擁壁は基礎構造物の中に含めた。付録には対象文献の全部を掲載し、本文には基礎構造物の文献のみを掲載した。
3.調査研究の結果
   @3文献のうちASCEとGeotechnique は2年度分の基礎構造物等に関係する文献の割合は、
    28/135×= 21% で同じであることもわかった。一方、Soil & Foundation は欧米の文献に比べて
     半分の割合であることがわかった。
   A3文献とも共通しているのは、杭の研究が最も多いことである。
   B欧米の研究では小さいがが、我が国の研究では擁壁の研究割合が大きい。
図1 ASCE 2005 〜 2006 年度 基礎構造物等文献内訳
図2 Geotechnique 2005 〜 2006 年度 基礎構造物等文献内訳
図3 Soil & Foundation 2005 〜 2006 年度 基礎構造物等文献内訳