Annual Review
No.1 1999.5
「研友社 Annual Review」の発刊にあたって
研友社 会長 田中 眞一

 私ども財団法人研友社は、当時の鉄道技術研究所における研究成果の普及と実用化を通じて社会の発展に寄与することを目的に昭和23年3月15日に設立されました。以来、寄附行為の目的達成のため、国をはじめ鉄道技術研究所ならびに(財)鉄道総合技術研究所や鉄道関連の多くの方々のご支援により、公益法人としての役割を果たしつつ活動を進め、幾多の起伏を越えて今年で51年経過いたしました。そして、平成10年度には設立50周年を記念して、公益法人としての活動をより一層効果あらしめるため、大学等を含めた研究機関において鉄道技術の研究開発、特に基礎的分野の研究開発に携わる研究者に対する助成事業を開始致しました。

現在、鉄道に関する開発研究は、(財)鉄道総合技術研究所をはじめ、運輸省交通安全公害研究所や日本鉄道建設公団などの公的機関ならびに一部の国公私立の大学等で行われておりますが、総合技術である鉄道技術の関連技術分野の広さに比して、鉄道を主体に研究開発を行っている研究者数や研究開発費は、自動車等他交通機関に比較して少なく、またその範囲も限られております。特に、車輪・レール間の相互作用問題等の鉄道固有の問題や基礎的分野に関しては、研究者数とともにこれを支援する機関も極めて少ないのが実状であります。新たに始めた研究助成が、ささやかではありますが、このような現状打開の一助なればと念じている次第です。

これら研究助成による調査研究の成果を鉄道関連の研究開発者や鉄道関連業界はもとより、広く社会一般に役立てて頂くことを目的として、この度、「研友社 Annual Review」を発刊することといたしました。このレビューは小冊子ではありますが、成果の概要の他、研友社の活動概況等も併せて掲載ております。出来れば広い分野の方々にご利用頂き、鉄道界ならびに社会の発展にお役にたつことが出来ればと願っております。

今後、毎年刊行していく所存ですので、ご高覧の上、調査研究の内容や研友社の事業等についてご理解を賜れば幸いと存じます。